日本は、先進国で最も英語の苦手な国だと言われています。
また、日本人は、先進国で最も男らしさを求められる民族であり、
最も高齢化が進んでおり(2人に1人が50歳近いかそれ以上)、
先進国で最も経済的に成長しない国でもあります。
これらに、関連性があるのか、ないのか。興味深いところです。
日本の男性は、一家の大黒柱であるから、外に出て仕事をしなくてはならない。
仕事ができなくてはならないから、弱いところは見せられない。
弱いところが見せられないから、ヘタクソな英語を話しているところを見せられない。
ヘタクソな英語を話している所を見せられないから、練習できないから、英語力が向上しない。
そんな悪循環に陥っている気がします。
現役通訳者が教える誰でも必ず英語が話せるようになる4つの理論:シリーズその1
そして、日本の物価は上がってきているのに、日本人の年収中央値は成長していない原因は、会社が給与をあげないからだと言われています。
ではなぜ日本企業は日本人に高給を払わないのか?
本当の事を言えば、どんな日本の企業も、いい人材は手が出るほど欲しい。
だったら、いい人材には、他社と競争してでも、いい給与、コンペティティブな年俸を提示するはずです。
中国や欧米の外資企業がそうするように。
そうしないということは、日本に大した人材がいないということ。
そして、明らからに日系企業は外資企業に比べ、平均給与が低い。これは、日系企業では雇用が安定している=クビにならない=能力もなく、会社に貢献していないのに両手で企業にぶら下がっている社員がいる、ということを表しています。残念ながら。
語学力プラスアルファの実績があれば、嫌な上司にイジメられる事もなくなり、自分が上司や会社を選べる立場になります。今の日本なら、そういう人材が少ないので、それがアドバンテージになります。
しかし、周りに語学力の高い人材が増えてくると、今度は日本語しか使えないことがハンディキャップになるようになります。それが外国ではすでに起こっているということです。
この流れは、中国のような、自国だけで大きな需要がある国でも例外ではありません。国内だけを前提としたビジネスを行う企業に成長はなく、成長のない企業に未来はありません。
SIA PACIFIC JOURNAL OF MARKETING & MANAGEMENT REVIEWというジャーナルに掲載された論文によると、世界のリクルーティング会社の調査で、突出した英語力のある転職希望者は、そうでない人に比べ、平均して30パーセントから50パーセント高い収入のオファーが得られるということがわかっています(Shakhnoza, T., 2022)。
国レベルで言っても同じようなデータがあります。国民の英語力を磨くことで、より国民総生産がアップし、政府は得られたお金をまた英語学習に投入することができます。
また同様に、ライフ・ディベロップメント・インデックス(Human Development Index)と言って、人間の幸福度、健康度合、平均寿命などを基準とした尺度も英語のスキルと相関性があることがわかっています(Shakhnoza, T., 2022)。
今やリングア・フランカ(lingua franca = 絶対的な共通言語)となった英語。いくら中国ビジネスが伸びてきたとはいえ、優秀な中国のビジネスパーソンさえも、今や英語を使いこなします。
ビジネスにおいて勝ち残るには、もはや戦場をグローバルな舞台に広げることの一択しかない時代。これほどコストパフォーマンスの高いスキルは他にありません。
この論文の著者はこう言っています。
Knowing English is not just a luxury—it’s the sina qua non of global business today. 英語を知ることは、贅沢な道楽ではない—グローバルで仕事をする者にとって必須の一手である。 (Shakhnoza, T., 2022) 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(字幕版) 英語でビジネスマンのロールモデルにするなら、ジェームス・ボンドは外せない候補。
Reference
Japan Ministry of Economy Trade and Industry, 2021. OECD Better Politics Better Lives. [Online]
Available at: https://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/oecd/index.html
[Accessed 15 August 2022].
Shakhnoza, T., 2022. The importance of English in the study of economics. ASIA PACIFIC JOURNAL OF MARKETING & MANAGEMENT REVIEW ISSN: 2319-2836 Impact Factor: 7.603, 11(05), pp.74-76.