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自分が重病に違いないという根拠なく決めつけてしまう人

ヒポコンドリア

ヒポコンドリアという言葉をご存知でしょうか?

英語ではhypochondria。偽善という意味のhypocracyの接頭辞(prefix)であるhypo-、これは下(under, below)という意味ですが、それにミトコンドリア(mitochondria)と同じ-chondriaという接尾辞(suffix)を合わせた語です。

余談ですが、英語で言うところのこのprefixとsuffixは、漢字の「へん」と「つくり」と似ています。

hypochondriaという単語は、被害妄想のparanoiaと似ていますが、自分がガンなどの重病に罹っていると根拠なく信じ込んでしまうことです。

そういうことって、ありませんか?

私は、祖母が最初に癌で亡くなったときに、自分もそうなるんじゃないかと心配になりました。

母が急性心不全で亡くなったときも、同じように思いました。

僕の高校の頃からの友人は、1年以上前にどこかで胡散臭い遺伝子でがんの検査ができるというテストキットを買って来てやったところ、膵臓癌の確率がMAXという結果が出ました。怖くなって速攻で医者に検査してもらったら、まったく異常が見られませんでした。

そのテストキットを作った科学者のウェブサイトを見たら、「まだまだテストの精度は完全ではないが、より100%に近くするよう改善を続けています」と書いてあったそうです。

もし本当にその友人が膵臓癌だったら、とっくに亡くなっているでしょうが、まったくピンピンしています。

やっぱりあのテストの結果は間違いだったのだろうという結論に至りましたが、それい依頼、彼は自分の健康に一切の自信を失い、常に重病に罹っているのではないかと心配で夜もなかなか眠れないと言っていました。

これらも軽度ヒポコンドリアの例だと思います。

身近な人の死を体験すると

特に30歳くらいになった頃から、周りの人の死を身近に体験することが多くなり、その度に次は自分の番なのではないかと不安になります。

お腹が痛いと、「あ、これ癌じゃないだろうか」と怖くなりますし、胸が痛くなると、「心臓麻痺で死ぬかも」と思ったり、頭痛があると、「ひょっとして脳内出血じゃないかしら」と恐怖に駆られます。

そして、お医者さんに診てもらうと、特に異常は見当たらないというパターン。

これって健康なメンタルなのでしょうか?

イランの研究では、ヒポコンドリアが仕事の生産性にネガティブな影響を与えるという結果が出ています。

2020年のパンデミックのまっ最中に、イランの石油産業(コンビナート)に勤務する275名の従業員を対象に、アンケートを行ったところ、ヒポコンドリアによる仕事での恐怖と恐怖からの立ち直りの遅れにより、従業員の能率が大幅に落ちていることがわかりました(Yazdanirad, 2021)。

能率が低下するだけならまだいい方で、もっと酷くなると、自分が重病であるという考えから脱却できなくなって、ノイローゼになったり、妄想やデイドリームを始めたり、自閉症の症状が出ることもあるそうです(Schellekes, 2018)

No cure for hypochondria, except for yourself

文献を探してもなかなかヒポコンドリアを治療する方法が書かれた論文は見つけられませんでした。

ただ、あるサイトによると、この症状はある種うつ病に近いところがあり、プローザックやルボックスといった薬が有効だという研究もあるそうです。

ただ、うつ病の薬を使用している人で、いい結果が出ている人を僕は見たことがありません。依存性が高まり、症状から脱することができなくなっている人を何人か見て来ました。

僕の父親もそうでした。若い頃は仕事のストレスで、ひどい躁鬱症で、薬漬けの毎日でした。結局鬱を乗り越えたのは、東洋医学のお陰でした。

とにかく、ネガティブな思考をやめるしかありません。重病は生活習慣病なので、日頃から食事と睡眠、運動に気をつけていれば、「やることはやっている」というポジティブな思考になり、余計な恐怖は無くなります。

そして毎年必ず健康診断を受ける。

そして、自分にもしもの事があってもいいように、生命保険をかけ、大事な人に必要な遺産や情報が渡るようにしておき、毎日自分にこう言って聞かせてみてはどうでしょうか。

Remember, life is short. Break the rules (They are to be broken)
Forgive quickly, kiss slowly
Love truly, laugh uncontrollably
And never regret anything that makes you smile.
The clouds are lined with silver
and the glass is half full (though answers are not found at the bottom)
Don't sweat the small stuff,
You are who you are meant to be,
Dance as if no one is watching,
Love as if that's all you know,
Dream as if you'll live forever,
Live as if you'll die tomorrow.
この言葉の重みを軽くしたくないので敢えて訳しませんが、これは20世紀のスター、ジェームス・ディーン(James Deam)の有名な詩です。

特に、最後のDream as if you'll live forever, live as if you'll die tomorrow.のくだりは彼を知る世代のアメリカ人なら、たいてい知っているのではないでしょうか。


スティーブ・ジョブスも、こんな言葉を残しています。

If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today. Whenever the answer is no for too many days in a row, I know I need to change something. Remembering that I'll be dead soon, is the most important tool I've ever encountered to help me make the big choices in life.

つまりは、毎日後悔のないように生きていれば、怖がる暇なんてないという事です。後悔するような人生を生きていれば、きっと恐怖に駆られ、体が何かを変えなきゃという悲鳴をあげるのです。

まとめ

まとめると、ヒポコンドリアはうつ病のようなもの。心が疲れているという事。

体の何らかの痛みなどの感覚は、多くの場合、重い病気のサインではなくて普通の現象。

一応健康にや生活習慣には気をつけ、食事、運動、睡眠は健康的にやる。

毎日自分の人生を後悔のないよう責任を持って生きていけば、根拠のない恐怖など、そのうち消えて無くなるはず。

References

Griffin, R. M. (2007) Worried Sick? Help for Hypochondria. Available at: https://www.webmd.com/anxiety-panic/features/worried-sick-help-for-hypochondria#:~:text=Hypochondria%20is%20hard%20to%20treat,cognitive%2Dbehavioral%20therapy%20also%20works. (Accessed: 19 August 2022).

Legacy Neurosurgery. Dream as if you’ll live forever. Live as if you’ll die today. -James Dean. Available at: https://www.webmd.com/anxiety-panic/features/worried-sick-help-for-hypochondria#:~:text=Hypochondria%20is%20hard%20to%20treat,cognitive%2Dbehavioral%20therapy%20also%20works. (Accessed: 19 August 2022).

Schellekes, A., 2018. Daydreaming and hypochondria: When daydreaming goes wrong and hypochondria becomes an autistic retreat. In Engaging Primitive Anxieties of the Emerging Self (pp. 21-41). Routledge.

Yazdanirad, S., Sadeghian, M., Naeini, M.J., Abbasi, M. and Mousavi, S.M., 2021. The contribution of hypochondria resulting from Corona virus on the occupational productivity loss through increased job stress and decreased resilience in the central workshop of an oil refinery: A path analysis. Heliyon7(4), p.1-7

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