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『スーツ』の英語表現⑥ – スマートに相手の真の目的を尋ねる  

※まだ見ていない人には、若干ネタバレになる可能性があります。

昨日だいぶ前に進みました。

今日も、ノンネイティブの人口バイリンガル帰国子女が、日本人の視点から、『スーツ』シーズン3の第13話という、非常に限られたエピソードの中から、個性的なキャラクターたちが放った台詞を解説し、ビジネスで日本人が使えるかどうかを考察していきます。

基本的に、僕が使ってみたいと思う表現ばかりを集めてみました。

このシリーズを最初から読む場合。

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To what do I owe this honor?

来てくださったご用件を伺いましょうか。

普段あまり交流のない同僚や外部の人が、いきなり愛想良くお土産を持って自分のところに訪問してきたら、なんか気持ち悪くないですか?

何か裏がある場合があります。

そういう時に丁寧んな表現で相手の訪問の目的を尋ねるフレーズ。場合によっては、あなたには本当の目的(hidden agenda)があることは分かっていて、あんたは招かれざる客(unwanted guest)ですよ、という牽制としても使えます(牽制されたと感じるということは、そういうhidden agendaかsecret motiveがあるからでしょうから)。

つまり、自分は比較的安全にありながら、牽制したり、相手の目的を探ることができる表現ではないかと思います。

Hear me out.

最後まで聞いて。

話の腰を折られたり、途中ではやとちりされてノーと言われたら、これを言いましょう。日本人はpleaseは付けたくなりますが、これはセット・フレーズなので付けると不自然に日本人ぽく聞こえます。

ルイスのオフィスにおもむろにやってきて、机にルイスの好きなコーヒーを置いたドナに、ルイスは訝って尋ねます。

Louis: To what do I owe this honor?

Donna: Dana Scott.

Louis: No!

Donna: Hear me out. You won. I’m not saying you have to give in to her. I’m saying, make ademnds with her.

ルイス:このギフトは何に対しての代償かな?

ドナ:ダナ・スコッティに対してよ。

ルイス:バカな!

ドナ:最後まで聞いてよ。戦いはあなたの勝ちよ。別にダナに降参してとは言わない。ただ、和解をして欲しいの。

make amends [with] = 事態を修復する。

Why would I do that?

俺がそんなことしなきゃいけない理由は?

ドナが間に入ってスコッティとの仲を修復しようとすると、ルイスが冷たくこう言います。

何か交渉を持ちかけられた時、こちらにメリットがない場合こう答えられます。

Donna: Hear me out. You won. I’m not saying you have to give in to her. I’m saying, make ademnds with her.

Louis: Why would I want to do that?

Donna: Well, it would would help if you tried putting yourself in her shoes.

ドナ:彼女の気持ちになってみたらいいと思う。

put your self in someone’s shoes = 自分を誰かの状況に当てはめてみる。誰かの気持ちになって考えてみる。

The same shoes that tried walking with my client?

俺の顧客を奪っていった時の気持ちか?

日本語でも十分サーカスティックなルイスのこの表現、英語ではさらに洗練されています。先程のshoesの表現を奪い去る、の意味があるwalk away with my clientのwalk away(歩き去る)の動作と掛け、「顧客を奪って歩き去ったあの靴か?」という皮肉たっぷりの表現になっています。これは日本語ではなかなか表現できないニュアンスです。

このように、皮肉(sarcastic expressions)は喜怒哀楽すべてを表す時によく使われます。これが自然に上手くできる人は、ヒユーモアのセンスもあり、知性もあり、国際ビジネスに向いていると思います。

Forget I said anything.

私が言ったことは忘れて。

これは英語の表現でセットで覚えるフレーズです。Forget what I said.という意味ですが、上記のエクスプレッションがよく使われます。

これ以上口論してケンカになり、相手との関係を修復不可能になるまで傷つけたり、余計な時間とエネルギーを浪費するのを避けるときに使えると思います。

場合によっては、火に油を注ぐことにもなりますが・・・どちらの状況も想像できます。

いずれにせよ、どのような状況で、どういうトーンで言うかも重要になってきます。

失敗した時の対応方法としては、誤解があればすぐに謝ればいいのです。私の経験上、英語圏の人は、こちらが誤解だと主張したり、悪い意図がないと分かった場合は、許してくれるフェア寛大さを持っています。

英語には、giving the benefit of the doubtという概念があり、本人が悪気がないと主張する場合は、多少疑わしいところがあってもとりあえずは信じてあげるということがよくあります。

If our friendship is dependent on this, then we do not have a friendship at all.

もし俺たちの友情がこれ次第なら、俺たちに友情なんて最初からなかったということだ。

ルイスは、ハーヴィーとの友情は否定しますが、スコッティとの確執のことは、それとは別だと断言します。

僕も、スコッティがルイスにケンカを売った動機は、嫌いです。「ハーヴィーの彼女だからという理由で今の地位を獲得したんじゃないことを証明したい」などと、変な虚栄とプライドみたいなものが絡んで、ルイスもいい迷惑じゃないですか。

Bullying is his client`s area of expertise.

いじめは、彼の顧客の得意分野です。

ハーヴィーとエリオットが裁判所で不正取引に関する訴訟で戦う場面でのハーヴィーのセリフですが、この構文は、直訳ではうまく伝わりません。

まず、このセリフの”bullying”は、学校のいじめのようないじめとは異なり、harass、不当な方法で相手の業務を妨害して、自分が不当な利益を得ることを言います。

それを専門的な言葉(extortionなど)ではなく、子供でも使うような”bully”という単語を使うことにより、行為の幼稚さが少し強調されます。

one’s area of expertise = 専門知識分野。

いじめが専門知識分野とは。これまたかなり痛烈な口撃です。

Harvey: It has noting to do with product superiority, and everything to do with Janus bullying his competitors.

Eliot: That’s not a question. Nor is it Mr. Morris’ area of expertise.

Harvey: No, it isn’t. Bullying is his client’s area of expertise.

It has nothing to do with something, and everything to do with something else = 何かとは一切関係なく、すべてこちらと関係がある。

product superiority = 製品の優位性。

You’re telling me you’re waving the white flag?

あんたは白旗をあげてるってことか?

wave the white flag = 白旗をあげる。敗北を認める。降参する。

Louis: We are at war.

Dana: No, we are not.

Louis: So what? You’re telling me you’re waving the white flag?

最後のルイスのセリフで、”Are you telling me…?”ではなく”You’re telling me…?”なのは、”So what?”だからどうした?の後なので、その答えを当てはめているため、Are you…?と疑問形になっていません。

I heard about today.

今日のことは聞きました。

裁判で苦渋を飲まされ、大変な目に遭ってオフィスに戻ったハーヴィーに、ジェシカが言います。

todayは、副詞で「今日」という意味でも使えますが、このように名詞として、今日という日や今日あった出来事の総称として使うこともできます。

この後どうなるのか。続きはまた次回。

References

“Moot Point” (2014) Suits, season 3, episode 13. Directed by Kevin Bray. Written by Aaron Korsh and Daniel Arkin, March 20.

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