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自己啓発ユーチューバーのBS:成功するためには、予期せぬ好機に備え武装するしかない

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BSとは英語のbullshit(大嘘、でたらめ)の略号で、もちろんあまりきれいな言葉ではない。

しかし、世の中にはBSがあふれかえっている。

例えば、不動産投資、太陽光パネル投資、FX、ネットショップやマルチマーケティングで億り人になれると標榜するネットのリーダーたち。

自分の全生徒の平均ROI(費用投資効果)を公開する人はいない。

前回の株式投資の先生の話でも述べたが、そんなに儲かる方法を知っている人が、わざわざその話をそんな簡単に人に教えるわけがない。

同じ方法でお金を増やそうとする人が増えるという事は、競合が増えるという事である。

もともとお金に対して欲のある人が、そんなボランティアみたいなことをするわけがない。

本当にボランティアで、世の中のお金に困った人を多く助けたいのだったら、受講料など取らずに無料でやればいいわけだし。

冷静に考えればわかることだが、億り人とか、経済的自由とか、セミリタイアとか、そういう言葉に反応した脳が幸福な物質を出している状態では、これが本当であってほしいという気持ちが働き、バイアスがかかるため、本来の判断ができない。

本当に億万長者になるような成功者を出したプログラムは、ナポレオン・ヒルとか、デール・カーネギーとか、本当に数えるほどしかない。

「一億円稼ぐ方法」という教材を売っている奴が、本業ではなく、その教材の売上で1億円稼いでいる場合がある事を考えなくてはならない。

「女にモテる方法」をユーチューブでやってるのを見て、こいつはどの程度モテているのか、と考えてみる。自分が女だったら、この男に抱かれたいだろうか?その答えがNOであれば、おそらくそいつは思ったほどモテていないと考える。恋愛経験も、大してなさそうに見える。実際、言っていることもオタクくさいし、どこか視聴者を見下しているのが伝わってくる。そこには劣等感の裏返しのようなものを感じる。

日本では何の根拠もなく、作者の肩書だけで、「ビジネスで成功するなら30までに脱サラしなさい」的な過激なことをタイトルにした啓発本がかなり売れている。それを実践した人間が路頭にさまよったり、取り返しのつかない決断をして後悔していたら、その作者はどう責任を取るのだろうか。

ただし、中には本当にためになるいいコンテンツを配信している啓発系のユーチューバーや作者もいると思うので、日本の教材はすべて腐敗していると言うつもりはない。そこは明確にしておきたい。

自分の道は自分で決めたい。だから僕は、自分自身の嘘偽りない経験と、世界的に認められたプロの論文とか、実際に証明された方法論から学ぼうと思う。

人の人生を多く見てきた本物の啓発の偉人は、21世紀のキャリアは、これまでとは違って、より変化が激しく、より多様化、複雑化していると述べている。そして、それらの変化は予測は不可能だと結論付けている。

そして、その予測不可能な変化に臨機応変に対応し、自分にとってベストな選択できるように自らを準備をしておくことが大切だと言っている。

たとえば、ジョン・クランボルツ。ナンシー・シュロスボルト。そしてジム・ブライト。

中でもジム・ブライトのキャリア・カオス理論は、直接的に人間の人生、とりわけキャリアの中での変化の仕組みについて述べている。

いわば、一昔前のキャリアは、床の上にピンポン玉を落とすように予測可能だった。しかし今は、部屋の中に扇風機を複数設置してランダムに風速や風向きが変わるようにし、窓を全開にして、さらにいたずら好きな犬を何匹も解放した状態で、ピンポン玉を床の上に落とすのと同じだという。それくらい、ボールがどこに落ちるのか、予測できない。否、床に落ちるという保証もない。犬に咥えられて逃げられる可能性もあるし、風で窓から飛び出すことも考えられる。

そして、このようなカオス状態では、小さな変化がその後の大きな変化につながることもある。

だから、人の相談を受ける立場の人間は、相手が話す身の回りの出来事のすべての詳細に注意を払う必要がある。

シュロスボルトによると、キャリアの転機には、4つのSを考える必要がある。4つのSとは、周りのサポート(Support)、シチュエーション(Situation)、自身の気持ちや状態(Self)、そして戦略(Strategies)である。

例えば、いま良い仕事のオファーがあったとする。しかし、周りのサポートが得られない場合がある。例えば、嫁ブロック、親の反対、夫がその仕事を嫌う、など。

シチュエーションが許さない場合もある。例えば、子供の面倒を見なくてはならない、高齢の親の介護の必要がある、など。

自分の気持ちの整理がつかない場合もある。上の例のように、肝心の自分が冷静な判断力を失っていることもある。あるいは、負け癖や、一歩を踏み切る勇気がなかったり、なんだかんだ文句を言う一方で、状況が変わらないことを望んでいたりして、結局前に進めず、時間だけがいたずらに過ぎていく、ということもある。

さらに、いくら好機到来があっても、それをどう生かすか、明確なビジョンや計画、戦略がなく、うまくいかないこともある。

シュロスバーグによると、これら4つのSのすべての条件がそろってはじめて、人生の転換期に、前向きな選択を行動に移せる。

そしてまた、自信をもって次の一歩を踏み出すことも必要だ。

結論として、どんな時も、最終的に自分の味方は自分しかいない。ほかの誰も、その責任を取ってくれない。

だから自分で考え、自分の責任で判断し、自分の力で前に進むしかない。


Selected Bibliography

Bandura, A., 2006. Guide for constructing self-efficacy scales. Self-efficacy beliefs of adolescents5(1), pp.307-337.

Billy Perrigo, February 17, 2023 10:58 AM EST. Tech Artificial Intelligence: The New AI-Powered Bing Is Threatening Users. That’s No Laughing Matter. [ONLINE]Available at: https://time.com/6256529/bing-openai-chatgpt-danger-alignment/

Jim Peacock (2018) INTERVIEW: Dr. Nancy Schlossberg and her Career Transitions Theory Available at:
https://www.youtube.com/watch?v=sbUz2DqbwmU

Pryor, R.G. and Bright, J., 2003. The chaos theory of careers. Australian Journal of Career Development12(3), pp.12-20.

Rogers, C. R., 1957. The necessary and sufficient conditions of therapeutic personality change. Journal of consulting psychology21(2), p.95.

The Introverted (2019) Thinker Interview with Dr Carl Jung 1957.  Available at: https://www.youtube.com/@TheIntrovertedThinker (Accessed 2 May 2023)





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