日本語の発音のラリルレロ(ローマ字で ra, ri, ru, re, ro)は、アメリカ人にはRやLとは全然違って聞こえます(これは実際に僕がアメリカ人に聞いた事です)。
IPA (International Phonetic Alfabet)などの発音記号では、/r/や/ɚ/などと表記されます。
“R”というアルファベット文字の正式な発音は/ɑːr/です。
この音は、ヘボン式ローマ字の影響からか、よく日本語のラリルレロの子音と同一視されますが、日本語の正しい発音を知っている英語のネイティブや、英語の正しい発音を知っている日本人は、まったく別であることを認識しています。
また、ネイティブには、英語の”R”/r/と”L”/l/の発音は、まったく違って聞こえます。例えるならば、日本人にとって、「ナ」と「ダ」くらい違って聞こえます。
彼らにとっては、readとleadの違いや、correctとcollectの違いもハッキリ聞き分けられる、というよりは、最初から似ているという認識がありません。
日本人が唯一聞き分けやすいRとLの発音の違いは、単語の最後にそのいずれかが来た場合です。例えば、star/stɑːr/とstall/stɑːl/の違いは明確に聞き分けられます。
ただ、国際的には、RとLの発音は、違う子音だけれども同じ”liquid”(リキッド)というカテゴリーに分類されます。
したがって、日本人以外にもRとLを似ていると感じる外国人もいるようで、その区別に特化したトレーニングも存在しています。
今日はそのR発音について書きたいと思います。
母音の発音を過去に分析した事がありますので、そちらに興味のある方はここをクリックしてください。
発音方法
まず、その発音方法ですが、口の中を解剖学的に見てみる必要があります。
英語の発音に使う部位は、主に、声帯(vocal cord)、唇(lips)、舌(tongue)、歯(teeth)、口の中の天井の口蓋(palete)というところです。
Olga Smith BTCS Limitedという発音矯正及びアクセント・リダクションのプログラムを提供している教育機関のウェブサイトには、Rの発音方法が以下のように記されています。
Speech organs position for the English /r/ sound:
The tip of the tongue curls back slightly in the roof of the mouth, just behind the alveolar ridge, and the breath squeezes past whilst the tongue is still and not vibrating.
Olga Smith BTCS Limited, 2019
僕がアメリカにいた時に習ったRの発音方法、そして今でも使っている方法も、これと似ていますが、描写のアプローチが少し異なります。
それは、こんな感じです。
すると、ネイティブが顔を輝かせて”Good!”とうなずいてくれるような”r”の音が完成します。
YouTubeのビデオを借りてエクササイズ
なんとなく雰囲気が掴めたら、自分の声を録音して、下にリンクが貼ってあるビデオの先生の真似をしてみてください。
この先生はイギリス発音ですが、先生の真似をしているうちに、アメリカ人にも、イギリス人にも、カナダ人にも、オーストラリア人にも、シンガポール人にも通用するRになってきます。
【ビデオで紹介されているドリル内容】 zからrの舌の形状への変化 r-r-river /r-r-ˈrɪvɚ/ r-r-run /r-r-rʌn/ gr-gr-grow /ɡr-ɡr-ɡrəʊ/ r-r-rain /reɪn/ narrow /ˈnær.əʊ/ borrow /bɒr.əʊ/ harrow /ˈhær.əʊ/ It's either right or wrong /itsˌˈaɪ.ðɚˈraɪtɚˈrɑːŋ/ rock'n roll /rɒknˈrəʊl/ Rest and relax. /restnrɪˈlæks/ Run, rabbit, run! /ˌrʌnˈræb.ɪtˌrʌn
これに慣れてきたら
これができるようになると、脳裏に深くインプリントされた「R=ラリルレロ」という固定観念が引き剥がされ、Rは独立した音として意識、無意識に認識されます。
この「引き剥がし」プロセスが必要なのは、Rに限らず、LやTh、Zなどの日本語にはない子音全てに言える事です。
方法論を理解し、一度自分のものにしても、油断をしたり、日本語を長く話すとまた日本語の癖が出てRをラリルレロで発音してしまうので、とにかく習慣化することが大切です。
頭にRが新しい音として認識されると、先にお話ししたreadとlead、correctとcollectのような音の違いも自然と聞き分けられるようになってきます。
聞き取りの能力と発音の能力には深い相関性があることは、以前このブログで書いた通りです。
そして、LとRの区別を練習したいなら、日本人におすすめ、僕が自分で開発したこの方法で!
シンプルに、 Learn, learn, learn, learn, learn, learn...
と、ラーン(learn /lrn/)、学習せよ!と、ただひたすら念仏のように言い続けましょう。
これは実体験に基づいています。嘘みたいですが、本当に有効です!
すごい発見だと思いませんか?
最後に
日本人にとって、Rの発音は意外と簡単です。
ただ、このロシア人のオルガさんの言うように、”w”の音で代用しないようにしましょう!すぐ日本人だとバレます。
まとめると、
Rの音は、巻舌ではなく、舌で”U字溝”を作る。
小さな音の出口を舌先の上に作る。
狭いパイプの中に音を共鳴せる。
これで、ジャイアント馬場ばりの「ポー」のR音が出せる。
たったこれだけです。
それでもできない人は電話ください。ノンネイティブの僕が、できるようになるまでサポートします。
※このページで使用した発音記号は、IPA、ロングマン式、ケンブリッジ式など複数のスタンダードを用いています。どれも少しずつ発音が異なりますが、アメリカ式・イギリス式程度の差異はあれど、どちらにも通じる程度の精度は確保しています。
References
Olga Smith BTCS Limited, 2019. Get Rid of your Accent. [Online]
Available at: https://www.batcsglobal.com/accent-reduction-blog/2020/5/31/how-to-pronounce-letter-r-or-sound-r-in-english#:~:text=Speech%20organs%20position%20for%20the,is%20still%20and%20not%20vibrating.
[Accessed 3 September 2022].