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『ソーシャル・ネットワーク』の英語表現⑧ – ゴールデン・ゲート・ブリッジの下の水は冷たい

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※まだ見ていない人には、若干ネタバレになる可能性があります。

前回の続きです。

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ただし、このページは映画自体の評論やストーリーの解説をするものではないので、作品を楽しみたい方は、映画をご覧ください。アマゾン・プライムでも、ネットフリックスでも観ることができます。


目次


I’m checking your math on that.

それに関してのお前の計算をチェックする。

math = calculation. 計算。

Mark: I'm checking your math on that–yes, I got the same thing.

マーク:それに関してのお前の計算をチェックする。・・・よし、同じ結果だ。

Was that a parable?

それは寓話かい?

parable = 寓話。教訓を交えた話。

カリフォルニアのパロ・アルトに移転し、偶然出会ったショーンにクラブに連れてこられたマークは、Victoria’s Secretに関する話をするショーンに尋ねます。

その話というのは、こんな感じです。

奥さんに下着をプレゼントしたいが、自分で女性売り場に買いに行けないスタンフォード大学のMBAを持つロイ・レイモンドという男が、8万ドルの借金を元手に自分の女性高級下着の会社を作ります。会社は成長し、レイモンドは5年後、この会社を400万ドルという値でレスリー・ウェクスナーに売却しました。ここまでの話を聞くとハッピー・エンドのようですが、会社は売却後もさらに伸び続け、その2年後には5億ドルの企業に成長しました。失望のあまりレイモンドは、ゴールデン・ゲート・ブリッジから身を投げ自らの命を絶ったというものです。

この話は、ウィキペディアにも掲載されています。

Sean: Poor guy just wanted to buy his wife a pair of thigh-highs, you know?
Mark: Was that a parable?
Sean: My date's Victoria's Secret model.

ショーン:可哀想な男だ。奥さんにタイハイ・ソックスを買ってあげたかっただけなのにね。
マーク:それは寓話かい?
ショーン:僕の彼女はVictoria's Secretのモデルなんだよ。

This time, you’re going to hand them a business card, that says…

君はこう書かれた名刺を奴らに配るんだ。『・・・』

仕事をするからには、お金を稼がなくてはなりません。

お金を稼げないビジネスは成り立ちません。

でも、仕事をするからには、大切な何かを持っていたいと思います。

そうでなければ、ビジネスする意味がありません。

私が生まれるもっと昔、レイモンド・チャンドラーというアメリカのハード・ボイルド小説家が『プレイバック』という作品の中で主人公の探偵フィリップ・マーロウにこんなセリフを言わせます。

If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.

(Raymond Changler, 1958)

俺が屈強でなければ、今頃生きていなかっただろう。優しさがなければ、生きる資格がなかっただろう。

(レイモンド・チャンドラー, 1958)

これがより近い作中のフィリップ・マーロウのセリフの訳ですが、日本人には寓話的な解釈の加わったこちらの訳の方が馴染みがあるかもしれません。

タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない(ウィキペディア)。

話が逸れましたが、サラリーマンの世界であっても、仕事でキャリア・アップを目指すなら、心に哲学と矜持を持って生きるべきだと私は思います。

Sean: What the VC wants is to say, "Good idea, kid. Grown-ups will take it from here." But not this time. This is our time. This time, you're going to hand them a business card, that says, "I'm CEO, bitch." That's what I want for you.

ショーン:ベンチャー・キャピタルの奴らはこう言いたいんだ。「いいアイディアだ、"坊や"。でも"大人たち"はそこからさらに発展させるんだよ」でも今回は違う。今回は俺たちのものだ。今回は、君は奴らに君はこう書かれた名刺を手渡すんだ。『俺が社長だバカヤロウ』それを君にやってほしいんだ。
The water under the Golden Gate Bridge is freezing cold. – Sean Parker
(The Social Network Got Facebook and Zuckerberg All Wrong, 2011)
ゴールデン・ゲート・ブリッジの下の水は凍るように冷たいんだよ。–ショーン・パーカー
(ソーシャル・ネットワーク, 2011)

Do you love and breathe Facebook?

君は命ほどにフェイスブックを愛しているか?

日本語訳が不足です。

love and breathe = 愛して、寝ても覚めても、それを空気を呼吸するように夢中になる。傾倒する。この表現は、日本語がない方が綺麗に伝わります。

Sean: Do you love and breathe Facebook?
Mark: Yes.
Sean: I know you do. Wardo wants to be a businessman, and for all I know he's going to be a good one, but he shouldn't be in New York kissing Madison Avenue's ass.

ショーン:君はフェイスブックを死ぬほど愛しているかい?
マーク:うん。
ショーン:わかるよ。ワルド(エドワルド)は事業家になりたいようだね、そして僕が見る限り、彼ならいい事業家になると思う。でも、ニューヨークなんかで、マディソン・アべニューのヤツらの機嫌を取ってる場合じゃない。

Wardo = ワルド。Eduardo(エドワルド)のあだ名。

businessman = 実業家。事業家。経営者。日本語のビジネスマンと若干意味が違う場合がある。

Madison Avenue = マディソン・アべニュー。ニューヨークの有名な通りの名前。アメリカの広告業界の代名詞でもあり(ウォール・ストリートが金融業界を表すように)、広告産業を表、ひいてはその産業で働く人たちを表すこともある。

Look at my face and tell me I don’t know what I’m talking about.

僕の顔を見て、僕の考えが完全に見当違いだと言ってくれ。

you don’t know what you are talking about = それは見当違いだ。直訳すると、あなたはあなたが話している事について知らない。

ショーンのこのセリフがカッコいいと思いました。

自分の強い意見を過去の経験を交えながら、理路整然と話した後で、マークがエドワルドをカリフォルニアに来させない訳を聞こうとします。

これが、「さあ、僕を論破してみろよ!」というメッセージなのか、その先に、「エドワルドなんかより、僕と組まないか?」という意図があるのかは、この時点ではまだ確信が持てません。

しかし、次のセリフで、彼の話がもう少し核心に迫ります。

While you’re getting into 100 schools, I’ll put you on two continents.

君が100校の大学に入り込もうとしている間に、僕は君の会社を2つの大陸に広めてみせる。

マークはこの夏の間に、100校の大学の学生にフェイスブックを広めようと考えていました。しかしショーンは、フェイスブックを2つの大陸に広げると宣言します。

サラリーマンであっても、どうせやるなら、自分の契約者たる上司に、ここまでのことは言わないまでも、これくらいの大口を叩いて実行してやるくらいの意気込みが欲しいです。

5年で売上2倍達成しろと言われたら、「2年で2倍にしますよ」と言って、本当にそれを実行する。

売上を10%上げろと言われたら、「私なら、50%上げられます」と言う。そして後は、その実力を示すだけ。

自分を安売りしない。自分の限界は他人ではなく自分で決める。

これを実現した場合、まぐれではなく、狙って勝ち取れるとんでもない人間だという印象を上司に与えられますし、もちろん、会社にあなたの噂は広まるでしょう。

Sean: A hudred schools by the end of summer?
Mark: Yeah.
Sean: Tell you what. Gesture of good faith: While you're going into 100 schools, I'll put you on two continents.
Mark: Two continents... If you don't have a place to crach, I think you should definitely come and live with us.

ショーン:この夏の間に100校?
マーク:そうだ。
ショーン:一つ教えてあげるよ。これは僕の善意だ。君が100校の大学に入り込もうとしているとき、僕は君の会社を2つの大陸まで広げてみせる。
マーク:2つの大陸・・・ もし、寝るところがないから、絶対に俺と一緒に来て一緒に住むべきだ。

ショーンに巨大な可能性を感じたマークは、彼をビジネス・パートナーとして迎えることを決意します。

面接やビジネス交渉でこれができる人間は、チャンスを与えられます。

そしてそのチャンスは外してもともと。普段から鍛えていれば這い上がる力がある。実力があれば、会社を追われる身になっても、次の居場所は必ず見つかる。

そしてチャンスを生かして成功を勝ち取れば、キャリア・アップの道が開かれます。


References

Amazon Prime, 2011. The Social Network Got Facebook and Zuckerberg All Wrong [Online]
Available at: https://www.ldoceonline.com/dictionary/install
[Accessed 10 September 2022].

Chandler, R., 1958. Playback, Vintage Crime/Black Lizard; Reissue edition, New York

Shoji, M., 2018. タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない (If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.) [Online]
Available at: https://agora-web.jp/archives/2032382.html [Accessed 13 September 2022].


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