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交渉をしなければ、結局何も手に入らない。リスクを取らない事は一番確実なリスク

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人間社会というエコシステムの中では、争いは避けられない。多すぎる個体が少なすぎる限られた資源をめぐって争う。

動物のオスはメスをめぐって戦い、勝者のみがその子孫を残すことを許される。

そんな弱肉強食の世界は、今も変わっていない。

恋愛においても、受験においても、結婚においても、就職においても、これは変わっていない。

民主主義が発展し、世の中が自由になるほど、競争は激化する。なぜならば、人間は自由を与えられるほど、本能に忠実になるのである。

人種差別を規制する法律ができたが、未だに欧米の白人男性の人気が根強い。そして女性による「上昇婚」が圧倒的に多いのは、必ずしも女性が打算的なのではなく(そういう場合もあるが)、メスは本能的に強いオスに惹かれるから、という理屈で説明がついてしまう。そして社会淘汰に強い男性は事実上一夫多妻システムを築き、弱い男性は一定の年齢を超えると女性にとっての「異性」のリーグから完全に除外され、存在しないことにされてしまう。シビアであるが、それが現実だ。

ビジネスにおいても、企業は価値を生み出せる人材をめぐって争う。人材は、35歳くらいまでに、「転職できない人材」と、「企業から寄ってくる人材」に大きく分かれると言われている。

すべては戦いである。そして戦いの根源は、ネゴシエーション(交渉)なのである。

赤ん坊は、「泣く」という交渉カードを与えられる。そして、本能的に、このカードを使う事で、大人から食料と安全を与えられることを学ぶ。

子供になれば、もう少し持ちカードが豊富になり、「宿題をするから、おもちゃを買って」というように、親と交渉をするようになる。

こうして、人間は成長過程において、IQも、容姿も、筋肉も、暴力も、SEXも、優しさも、スキルも、あらゆるものを交渉のカード(武器)として備えていく。

女性は、生まれもって若さという武器があり、年齢とともに衰えていく。若いうちに世の中が自分に優しいのは自分が若い女性というプレミアムがあるからだという事を悟り、それ以外の武器を磨いていかなけば、中年期に差し掛かって「あれ?なんだかおかしいぞ」と感じるころには地獄に転がり落ちることになる。

男性は逆に「加点法」であり、生まれた瞬間は何の価値もなく、チヤホヤされない代わりに試練を与えられる。この試練から逃げ続けて年だけ取ってしまえば、やはりシビアな世界が待っている。

そして、大事なのは、自分の価値を正確に知り、その価値をうまくネゴシエーションという「戦闘」に生かすことだ。

どんな価値も、その価値を認められる場所に行かなければ何の価値もない。

交渉においては、以下のステップを踏むことが大切である。

  • 相手との関係性の重要性を分析する
  • 自分が欲しいもので、相手が提供できるものを明確にする
  • 必ずWalk-Awayの条件を明確にする
  • 相手の欲しいもので、こちらが提供できるものを明確にする
  • 事前に自分と相手の欲しいものの優先順位をつけ、マッチングのシミュレーションをする
  • 場合によってはBluffを使う

相手との関係性の重要性を分析する

仕事の内定をもらうとき、交渉をした場合としなかった場合とでは、給与条件が数割違うというデータがある。それなのに、人間(特に日本人)が交渉を割けるのは、交渉によるペナルティ(特に日本文化においては)があるからである。

就職の面接では、内定があるまでは給与の話はタブーとされている。求職者にとって、給与面は死活問題であり、非常に大切な問題なのにもかかわらず、だ。

だから、何度も面接をして内定が出たのに、給与面で折り合いがつかず、だめになるケースはたくさんある。そもそも、企業はいい人材が欲しいなら、現職よりも10パーセントくらいは高い給与をオファーするべきなのに、現状と同じか、それより低い給与でオファーを出す場合がある。仕事はお金がすべてではない、確かにそうだが、そんなところでケチる企業に忠誠を尽くせる人間がいるだろうか?

早い話が、話がそれたが、最悪交渉決裂になってもいいなら、遠慮することはない。この先付き合う必要がない一元のビジネスパートナーには容赦なく高い(かつ合理的な)条件を要求すればいい。図々しい奴だと思われようが、二度と合う事はないので、関係ない。You don’t give a shit.だ。

逆に、今後の関係が大事な相手(例えば得意先や、辞めたくない会社の上司など)なら、もう少し慎重にならなくてはならない。

自分が欲しいもので、相手が提供できるものを明確にする

自分は相手の何を欲しいのか、それを明確にするのは難しくないが、具体的な数字にできるならした方が良い。例えば、年俸1000万円以上、とか。逆に500万円の車を350万円まで負けてほしい、ほか。

100%達成できない可能性の方が高いが、最初の設定を低くしすぎると、交渉の可能性をつぶしてしまうので、最初はNoと言われるのを覚悟で高いところからスタートした方が良い場合もある。

転職の場合は、リクルーターという強い味方がいる。交渉力のあるリクルーターと手を組めばよい。彼らにとってあなたは「クライアント(顧客)」ではない。それは仕事のポジションを提供する企業であり、彼らはあなたを「商品」として見ている。彼らは商品を高く売りたいので、あなたのオファーの年収が高いほど利益がある。その意味でwin-winであり、あなたを雇う為にお金を払う企業の利益とは相反する関係にある。交渉に関しては、こちらの希望だけ伝え、すべて彼らに任せればよい。うまくいけば年収アップしてパートナーも喜ぶ。失敗すればリクルーターもチャンスを失う事になるので、しっかりやってくれる。

また、自分を安く売らず(合理的な範囲で)高い条件を示すことで、セルフブランディングにもなる。

必ずWalk-Awayの条件を明確にする

どんな場合も、交渉決裂になってもいい状態でいなくてはならない。これは就職、ビジネス、恋愛、結婚などすべてに言えることだ。

恋愛であれば、「どんなことがあっても、この女性のいない人生など考えられない」という言葉は美しいが、男性には自殺行為に等しい。

第一に、そんな男に女は価値を感じない。メスは本能的に、希少価値の高いオスの手に入りにくい愛を独占したいのである。無条件に手に入る異性になど、本能的な魅力は感じない。

次に、例えばこの女性は浮気をしたらどうするのか?フライパンで頭を殴られてもこの女性のそばにいたいのか?それは対等ではなく奴隷関係である。そして、実際そうなっていく。

友達としてはとても優しかった女性が、あなたが興味を示したとたんに冷たくなり、距離を取るようになった経験はないだろうか?

それは、その女性があなたを「自分より価値の低い異性」だと評価したからだ。女性は自分より価値の高い男性しか興味がない。そうでない男性に距離を詰められるのは不快なのである。これは女性の選別して優秀な遺伝子を残す本能だから仕方ない。でも明確に「No」という事によって、「あいつは性格が悪い」と噂されたり、「何勘違いしているんだよ。お前、自意識過剰じゃないのか」と逆にプライドを傷つけられるリスクを負いたくない(自分より価値の低い男のために)。だから間接的にけん制しているのである。

ビジネスも同じことで、こちらはこの交渉をまとめなければ後がなく、相手にそのことを悟られたら、相手の言いなりになってしまう。値段は言い値、こちらに反論の余地はない。あとは、土下座でも泣き落としでもして、情に訴えるしかない。こんなみじめなことがあるだろうか。

そのためには、BATNA(the Best Alternative to a Negotiated Agreement)というものを確保しておくのがよい。要は滑り止めだ。この交渉がぽしゃったら、現状の年収は維持できる、という状態であれば、現在の雇い主に休職中なのは言わず、もっといい内定を得たら辞めればいい。Aという店で500万円の車を400万円まで下げてもらえたなら、Bという店とは400万円未満で交渉する。それ以上の値段はありえない。

喧嘩の場合も同じで、いざとなって全面戦争になっても負けない戦力がなければ、圧倒的に不利になる。ロシアに核兵器がなければもっとやりやすいのと同じだ。

相手の欲しいもので、こちらが提供できるものを明確にする

相手が交渉のテーブルについてくるという事は、こちらから何かを求めているという事である。それが、企業ならあなたのスキルや実績なのか、集客力なのか。恋愛ならお金なのか、自分が彼氏になったら女友達に自慢できるような容姿なのか、SEXなのか。そしてそれは、どれだけの価値があるのか。客観的に知っておこう。

スキルなら、ネットで大体どれくらいの職位に対してどれくらいの市場価値がついているのかわかる。

ちなみに、あなたをヘッドハンティングしているのが競合であり、競合のノウハウがあなたを雇いたい理由であれば、あなたがノウハウを教えたとたんにクビになる覚悟をしておくべきである。

事前に自分と相手の欲しいものの優先順位をつけ、マッチングのシミュレーションをする

「彼を知りて己を知れば、百選危うからず。」お互いのカードとその価値(それぞれオファーされる側の評価)がわかったら、それらをうまくマッチングして、どれとどれを合わせるか考える。

一番大事な条件、これがなければ交渉する意味がないという条件は必ず抑える。あるいは、先に明確にして、時間の無駄のないようにする。一応理由を伝えれば、(それが一番の理由でなくても―場合によっては本当の理由でなくても)多くの場合、説得力と相手に受け入れられる可能性が上がる。

そして詰将棋のように、脚本を心の中で描いておく。

もちろん、本番はプラン通りにいかない。相手も戦略を立ててくる。しかしどんな場合も冷静に(少なくとも動揺を相手に悟られず)、その場で一番良い対応をしていけば、多くの場合、最低限の結果は得られる。

場合によってはBluffを使う

当然、いつもこちらが有利な立場にいられるわけではない。時として、事実上こちらが無条件降伏しなければならないほど圧倒的な戦力の差がある場合もある。

その場合、相手にこちらの戦力の底を見せてはならない。

不良の喧嘩で言えば、人数で圧倒的に不利なのにも関わらず、恐怖を微塵も見せず、「お前ら全員でかかってこい」と言えば相手は「こいつひょっとしてヤバい奴なんじゃねえの?」と思い、一瞬動揺が走る。その瞬間に相手の司令塔か一番戦闘力の高い奴をブチのめす。そうすると相手が逃走する、という事もある。

恋愛でも、本当はめちゃめちゃ好きなのに、それを隠し通す駆け引きが使われる。本当はお金がないのに、外車や高いロレックスの腕時計をローンで買っている奴もいる。

そんなバレバレのハッタリは滑稽なだけだし、中身が伴わないのは却って自分を卑しめるが、場合によっては故意に相手を誤解させる情報の悪用も使われる。

同じ交渉事でも、簡単に勝ち取った条件よりも、苦労したほうが価値が高く感じる。だから、本当は裁量の範囲の値引きでも、セールスの人間は「すみません、上司に相談します」と言ってわざと時間を掛けたりする。プロポーズも本当はOKなのに「少し考えさせて」と言う女性もいる。

相手のブラッフに気づいても、気づいていない振りをするというカウンター技も必要だ。そうすれば相手の策を逆手に取ることもできる。

逆に、小細工は無駄だと相手に教えた方が良いパターンもある。これは場合によりけりだ。

いずれにせよ、交渉はこれからもすべての人間の必須スキルである。サバイバルのためには、日々磨くしかない。



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