Being young is not having any money; being young is not minding not having any money. - Katharine Whitehorn 若いということは、一切お金を持たないこと。若いということは、一切お金を持たないことを気にしないということ。 −キャサリン・ホワイトホーン
When I was young I thought that money was the most important thing in life; now that I am old I know that it is. - Oscar Wilde 私が若い頃、人生において一番大切なのはお金だと思っていた。そして歳を取った今、人生において一番大切なのはお金なのだという事を知っている。 −オスカー・ワイルド
オスカー・ワイルドは、世の中の馬鹿らしさを風刺的に表現する人でしたので、半ば冗談でもあると思いますが、若い頃はお金のことが気にならなかったものです。
最新のビジネス洋書ベストセラーをチェックでも、あるとき、「お金がすべてではないが、ないよりあった方が良い」と思うようになりました。
そして、その段階を経てから、「お金はあった方が良いが、それがすべてではない」に帰ってくるべきだと。
そこで帰国後の僕は、転職によって収入を上げて来ました。月の手取り16万円から始まり、戦略的にキャリアアップを繰り返し、確実にあげる事ができました。
どれくらい上げたかというと、まず帰国後3年で800万円となり、その2年後に1本となり、その数年後に2本となり・・・正直これ以上は、通常の方法であげていくのははなかなか難しいと思います。
でも、それでも税金で半分以上持っていかれるし、物価は上がるし、子供が2人もいる生活をして、将来のために資産形成をしていると、全く贅沢はできません。これが日本経済における被雇用者の限界に近いのではないかと思います。
それはさておき、どうやってここまで上げたのかだけは記載しておきます。ひょっとしたら誰かの役に立つかもしれないので。
1社目:ベンチャー商社の営業
僕が持っていたスキルはまったく大したことなく、帰国子女というステータスと、英語力だけでした。理系の修士学位とか、業務経験はまったく無いところから、34歳で日本のキャリアをスタートしました。
最初は20代のまだ世間知らずの女性社員から、「仕事のできないミスの多い年上の後輩」として毎日説教をされる状態でした。
でも、いつかはもっと上を目指せるという勝算がありました。
自分の強さ、弱さをわかっていたからです。
自分の能力を発揮できるのはここじゃない、日本には、もっと自分の強みを生かす需要があるはずだ、と。
英語力において、自分と匹敵するレベルの日本人はいませんでした。
正確には、語彙力とか、発音とか文法とか、パーツで見れば英語教師をやっている日本人で僕より上の人はたくさんいると思います。
でも、英語をコミュニケーション・ツールとして意思疎通をする能力には、自信がありました。これに関しては、アメリカで泥を飲んで生きるような体験をした事が自信につながっていたのだと思います。
当時はグローバル人材という言葉が新聞に毎日掲載されるほど、ちょっとしたブームになっていました。
2社目:一部上場企業の海外事業開発部
手取り16万円のこの会社は3ヶ月でおさらばしました。20代の「先輩」にお礼を言って。
何10社もの面接を受け、運よく一部上場企業の海外事業開発部門に中途採用する事ができました。SWOT分析の結果、これが一番有効だと思う道を選択したからです。自分の強み(Strength)を好機(Opportunity)に生かす。これが最良の策でした。
問題は、ここでは直属の上司を尊敬できなかったこと。
そして、在籍していた3年以上の間、年収があまり上がらなかったこともあり、年功序列のエレベータの順番待ちで昇格を目指すより、キャリアアップの道を選ぶことになります。
3社目:外資プロジェクトマネージャー
その後、この会社には4年ほどいたのですが、嫌な上司に当たったのと(前回参照)、日本企業における、エレベータの順番待ちのような年功序列に凝り固まったキャリアパスに絶望し、リクルータからの誘いで外資に転職しました。
職種は、グローバルなプロジェクトチームをまとめ上げるプロジェクトマネージャーのポジション。勤務地は東京のオフィスでしたが、所属はアメリカの本社でした。
ここで年収が「1本」となりました。とにかくキャリアップが目的だったので、職種は拘りませんでした。
ただ、アメリカから帰国する際、土産がわりに取得しておいた英語のPMPと英検1級がここで役に立ちました。
TOEICは満点を狙うならケアレスミスが許されないし、2年ごとに受け直さないといけないと聞いていたので、一回合格したらずっと履歴書に記載できる英検の1級を選びました(マニアックで実務で役に立たない語彙がたくさん出てきましたが)。
しかし、外資は本当に弱肉強食の世界で、同僚から裏切りを経験した僕は、またしても限界を感じました。
4社目:ベンチャー企業グローバルセールス部門長
そんな時、ヘッドハンターから連絡が来て、医療系のベンチャー企業に転職しました。
ここではグローバルに製品を売るセールスの責任者のポジションを頂き、かなり大きな裁量とチームと責任を頂きました。
収入も3年ほどいましたが、年収もこれまでの1.5倍ほどになり、世界中を出張して回る貴重な経験を得ることができました。
チームの成績も好調で、新しく導入した方法が効果を発揮し、チームは売り上げを達成しました。2年半で、会社の売上が着任の頃の2倍ほどになっていました。
このチームで得た仲間は、今でも友達として連絡を取り合い、一緒に食事をしたり、昔の話をして懐かしんでいます。
5社目:医薬コンサルティング・ファーム
しかし、そんな楽しいキャリアも長くは続かず、若いのに社内で目立ち過ぎた僕は、年配のエグゼキュティブたちから敵視され、会社を追い出されてしまいました。
この時は、無職となり、リクルータには足元を見られて「今の条件だと、年俸900万円くらいのポジションで検討してください」と言われていました。ちょうどコロナが始まり、決まりかけた内定も取り消されて、途方にくれていました。この時は家族に迷惑をかけたと思います。
しかし運は僕を味方してくれました。3ヶ月後には、医療系コンサルティング会社で、さらに給料アップのポジションの内定が決まり、とりあえずキャリアを繋ぐことができました。
この会社は世界中の製薬会社が日本向けに開発を行い、承認を得てリリースするまでのサポートをしたり、海外と日本の製薬メーカーの医薬品のライセンス売買の仲介を行なったり、という事をしていました。
僕は、海外のクライアントと交渉をまとめるのが主な仕事でした。ここでも英語が生きました。
6社目:大手外資営業マネージャー
しかし、ここでもやはり上層部との関係が良好でなく、そのうち会社の政治的なところに嫌気がさし、リクルーターからのオファーを受けて、大手の外資に転職しました。
大手に所属し、リーダーとして成功した経験が自分のキャリアに必要だと思ったからです。
嬉しいことに、営業部門の責任者のポジションです。チームと裁量が与えられました。
入社ボーナスもオファーされ、基本年収もさらにアップしました。
そして、現状ここまでで今に至るわけですが、過去に英語を必死で勉強し、その英語をツールとして海外の書籍やウェブサイト、論文から学んだビジネスの知識を市場のニーズに適った形で使って来たことが、ここまでの年収アップにつながったと思っています。
まとめ
というわけで、これからキャリアを形成する方にアドバイスをまとめます。
- 年収は上げるべきである事を受け入れる
- お金は汚いものではなく、可能性を与えてくれる便利なもの
- くだらないプライドは捨てる
- 無職になることは自らの市場価値と交渉力を下げる。転職するときは、必ず転職先から内定をもらってから退職願を提出する
- 市場が求めている分野(スキル)にひたすら自己投資する(今なら語学、IT、プロジェクトマネジメント、プログラミング、データサイエンスなど)。AIに淘汰されやすいスキル、レッドオーシャンは避ける。流行りのスキルを習得する場合は、中途半端にやらず、頭一個抜きん出るまでやる
- 3年以上同じポジションに収まらない(それ以上は転職時にマイナスになる)
- 転職する時、絶対に今より年収の低いポジションに移らず、必ず10パーセント以上アップを狙う(年収は同じ会社にいても上がらない。年収を大きく上げられるのは転職する時だけ)
- 転生時には、必ずリクルータと給与の交渉をする(日本にはない風習だが、キャリアアップには必須。文字通り、Don’t sell yourself short.)
- 利益を出している会社にしか転職しない(利益率の低い会社は給料も低い)
- 社会人になったら、学生の頃以上にいろんなものを吸収する
- あなたの市場価値の評価については、一人のリクルータの意見を鵜呑みにしないで、自分の客観的な価値を知る(必ずセカンドオピニオンを聞く)
- 大企業にいれば定年まで安泰という時代は終わった。まして定年後の自分の身は自分で守るしかない
- 結局正直でいることが一番楽(嘘つきは大変で割に合わない、と思う)
以上です。僕の主観も入っていますが、上のアドバイスは大体どの人にも当てはまると思います。
ただ、会社に雇われている以上、稼げる額にも限界もありますし、やはり人生を楽しく生きるには、自分の仕事とを楽しむことも大切だと思います。
以上は、特別な才能に恵まれたわけでもなく、特別なスキルも無い人間が、最小限のリスクで、収入を最大にしたい場合の方法論でした。
英語プラスアルファのスキルは、今からでも遅くない、自己投資しましょう。
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